仕事におけるコミュニケーションの目的
コミュニケーションの定義
Oxford Dictionariesの定義がシンプルで良かったので、この記事では以下のコミュニケーションの定義を使うことにします。
The imparting or exchanging of information by speaking, writing, or using some other medium.
→ コミュニケーションとは何らかの手段で情報を伝えるもしくは交換すること
コミュニケーションによって何が可能になるか?
定義からコミュニケーションによって以下の2つが可能になります。
- 相手から情報を得る
- 相手に情報を与える
「相手から情報を得る」ことで私たちは情報を収集できます。私たちはコミュニケーションから情報を得ることで、知識を得たり、嬉しい気持ちになったりします。つまり自分に対して影響を与えているのです。
「相手に情報を与える」ことで、私たちは他者に影響を与えることができます。「他者」としたのは、コミュニケーションの相手に直接影響を与えるだけでなく、その相手が別の人間とコミュニケーションをすることで間接的に影響を与えることができるからです。
問題は私たちがコミュニケーション相手に影響を与える理由です。
他者に影響を与える目的
仕事において私たちは以下のように様々な目的を持ちます。
- 会社に貢献したい
- 自分のやりたいことをその会社で実現したい
- スキルを獲得したい
- 昇進したい
- 実績を作りたい
- etc...
こうした仕事の目的を達成するためには、他者の協力が必要になることが多く、目的が大きいほど、一人で達成することは困難になります。
例えば「部門を横断した仕組みを構築したい」ならば、その仕組みに関係のある部署の協力がなければ難しいでしょう。また「昇進したい」ならば、上司、部下、チームメンバーの評価が必要になります。
こうした状況に置かれているのは自分だけではありません。他者も同様に多種多様な目的と手段の構造を持ち、目的達成のために他人の理解や協力を必要としています。
私たちがわざわざコミュニケーションしてまで「他人に影響を与えなければならない」理由がここにあります。
またそれだけでなく、こうした様々な目的が入り乱れている職場では、最終的にどちらも得をするwin-winの結果になることもあれば、どちらか一方だけが得するwin-loseの結果になることもあります。(もしくはlose-lose)
基本的に私たちは、お互いがお互いの目的を達成できる方法、つまり協力の道を探します。しかしどちらか一方でも、そうした方法は実現不可能だと判断した場合、その判断を下した者は自分が勝つ方法を探し始めます。
つまり、お互いがwin-winを目指すことが妥当と判断した場合、コミュニケーションの目的は「協力」になり、どちらかがwin-winが難しいと判断した場合、「他者の操作」や「他者の排除」(裏切り)がコミュニケーションの目的となってしまうのです。
しかも職場には、自分にとっても相手にとっても協力ではなく、裏切りに走やすくなる理論的な構造が存在します。ゲーム理論における囚人のジレンマです。(実態はもう少し複雑な囚人のジレンマの繰り返しゲームです。)なぜ囚人のジレンマになるかというと、(自分と相手の双方にとって)相手を裏切ることで獲得できるリターンが大きくなり、裏切られた側のリターンが大きく減るケースが存在するからです。
まさに社内政治のゲームです。
また、目的によって手段は180度変わります。
協力をコミュニケーションの目的にした人は、相手の理解を十分に深め、自分の意図や目的を無理に押し付けることなく丁寧に説明するようなスタンスを取るでしょう。
一方で排除や操作を目的とする場合、隠れたところでのネガティブキャンペーンや印象操作、仲間を集めてのパワープレイも厭わないかもしれません。
容赦の無いコミュニケーションを実行する人間は確かに存在する
巧みな印象操作で多くの人を味方につけ、無慈悲で容赦のない社内政治を展開した末に、邪魔な敵を合法的に排除した人間を私は知っています。
私たちが仕事の目的を達成するためには、こうした肉食獣から身を守らなければなりません。
彼ら相対した時、どのように立ち回るべきでしょうか?
裏切られた場合どうするべきでしょうか?
具体的な方法としてはどのようなものがあるでしょうか?
裏切り行為から身を護る防御壁を普段から築いていく方法はあるのでしょうか?
こうした論点に関しては今後じっくり考えていきたいと思います。